スキンケア豆知識

一般的な美容関連書籍に記載されている「日焼け止めの選び方」は要約すると下記2点に集約されます。

  • 普段使いであれば「SPF20~30、PA++程度」、海や山などレジャーで日焼けしやすい環境に長時間いる場合は「SPF50、PA+++」を目安に選ぶ。
  • ケミカル(「紫外線吸収剤」配合の日焼け止め)よりもノンケミカル(「紫外線散乱剤」配合の日焼け止め)を選ぶ。

本来、紫外線に対する防御力の指標であるSPF値やPA値が高い日焼け止めを使うにこしたことはないはずですが、このように言われるようになったのには理由があります。ひとつの理由は、「紫外線に対する防御力」と「日焼け止めの肌に対する負担」が相反関係にあること、もうひとつの理由は、「普段使い」を「2時間程度の外出」と仮定した場合、計算上はSPF20~30の防御力で十分であることが挙げられます。これら2つの理由についてもう少し掘り下げてご説明します(以下では、これらの考えに反証しますので最後までお付き合い頂ければ幸いです)。

ひとつめの理由について

一般に、「紫外線散乱剤」の方が「紫外線吸収剤」よりも肌に負担が少ないと考えられています(事実、紫外線吸収剤にはアレルギー性があるため、肌の弱い方にはあまりお薦めできません)。しかし、紫外線に対する防御能力という視点では、紫外線散乱剤は紫外線吸収剤よりも大きく劣ることから、紫外線散乱剤のみでSPF50やPA+++といった強力な日焼け止めを作るのは困難です。こうした現実を踏まえ、美容関連書籍には「SPFやPAは高ければ高いほど良いというわけではない」と記載されています。

ここでひとつめの反証を挙げます。「紫外線散乱剤は肌に負担が少ない」は本当でしょうか?紫外線散乱剤の原料は、酸化チタンなどの無機化学物質で、酸化チタンは欧米において以前から安全性懸念物質として認識されています。例えばドイツのブルーエンジェルというエコラベル制度では、酸化チタンを発がん性区分2という化学物質群に分類しています(酸化チタンはその結晶構造によって有害性の大小が異なりますが、ブルーエンジェルは何れの酸化チタンをも対象としています)。こうした事実をご存知でしたでしょうか?化粧品業界は、紫外線に起因して皮膚がんになるリスクより酸化チタンの有害性リスクの方が小さいという理屈で酸化チタンを使い続けているのです(これはこれで間違った考え方ではありませんが、大切なのは消費者にこの事実を周知しているかということだと思います)。

もちろん、酸化チタンの代替となる原料を開発しようという動きもあります。一例として、酸化セリウムという無機化学物質が挙げられます。この無機化学物質は酸化チタン並みの大きな屈折率(太陽光を散乱する能力)を有するため日焼け止めの原料として期待されていますが、光触媒機能を有するため、紫外線を浴びるとラジカル(肌老化の源)を無尽蔵に排出するという欠点があります。このため、2018年現在で日焼け止めとして製品化されている酸化セリウムは、その周りを白金でコーティングし、白金にラジカルを吸収させるという思想を取り入れた原料に限られています。

レアメタルであるセリウムと白金(プラチナ)を組み合わせた原料であるため、SPF値やPA値を大きくするために大量に用いようとすると、その原料価格たるや想像を絶するほどの高額になってしまいます。そしてその原料価格は必然的に日焼け止めの価格に反映され、消費者に大きな負担を強いてしまうことになります。また、世に出てまもない原料であるためこなれておらず、もしかしたら将来、酸化チタンのように欧米において安全性懸念が指摘される可能性もゼロではないと思われます。

これらの状況を整理し、NKラボが至った答えのひとつが「NK UVプロテクトクリーム」です。肌負担が多少懸念されるとはいえ従来から使用されている安全性の高い「紫外線吸収剤」を、肌負担の心配がないシルク由来成分で包み込んだマイクロカプセル構造を形成させることにより、紫外線吸収剤を肌に直接触れさせることなく、紫外線吸収剤の高い紫外線防御力のみを享受できるという設計思想に基づいて生まれた古くて新しい日焼け止めクリームです。

ふたつめの理由について

「普段使い」を「2時間程度の外出」と仮定した場合、計算上はSPF20~30の防御力で十分であることは事実ですが、これには2つの前提条件があります。ひとつは対象が「肌の強さが標準的な人」に限られること、もうひとつは、日焼け止めの紫外線防御能力の指標は「皮膚1cm2当たり2mg」の日焼け止めを肌に塗布した場合を前提に算出されたものであるということです。

肌の強さは人それぞれで、同一人物であっても生理的バイオリズムや体調、季節によって肌がデリケートな状態へと変化しします(デリケートな肌は紫外線耐性に弱いことが知られています)。また、「皮膚1cm2当たり2mg」は、使用感にかなりの不満を感じるレベル(べたつき過ぎる)の分量であるため、ここまでしっかり日焼け止めを塗る方というのはレアケースです。一般的な使用量では日焼け止め本来のSPF値とPA値を引き出すことができないのです。

これらのことから、NKラボでは、日常使いであってもSPF値とPA値ができるだけ高い日焼け止めをご使用されることをお薦めしています(ただし、肌負担があまり問題にならない日焼け止めをご使用になられていることが前提になります)。

最後に

日焼け止めは年中無休でご使用されることをお薦めします。例えば、晴れの日の紫外線量を100%としたとき、雲が多少ある日で85%、曇りの日で60%、雨の日でさえ30%もの紫外線が地表に降り注いでいると言われています。また、紫外線は窓越しに透過してきますので、室内にいる場合でも紫外線対策は大切です。しみ、しわ、たるみ、毛穴など、肌老化のほとんどが紫外線に起因すると言われているからです。お客様ご自身だけでなく、お子様がいらっしゃるご家庭では、お子様が小さいうちから日焼け止めを継続的に塗ってあげることで、将来の肌トラブルリスクを軽減することにつながります。